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サルコペニアについて

サルコペニアに関する情報を皆さまにお届けいたします。

サルコペニアとは

 サルコペニアとは、加齢に伴う筋肉量の減少を表すことばです。サルコペニアはギリシャ語で「筋肉の喪失」を意味します。「歳を取れば筋肉が減るのはあたりまえでしょ」とお思いになるでしょう。確かにそのとおりなのですが、その筋肉の減り具合や、日常生活や健康への影響などを系統立ててひとつの概念としてまとめたものです。

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サルコペニアの診断基準

サルコペニアという言葉が提唱されたのは30年前にもさかのぼります。当時は筋肉量の減少が平均より多めに下回る状態を示していました。しかし該当者の多くでADL低下、転倒、入院、死亡などとの関連があることがわかりました。これ以降、サルコペニアは加齢に伴う筋肉量の減少を背景に、握力や歩行速度も現れていることが条件に加わりました。

そして欧州老年医学会などの研究グループThe European Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)により、歩行速度、握力及び筋肉量を指標としたサルコペニアの診断基準が提唱されました。

これをふまえて2014年にアジア人のためのサルコペニア診断基準を議論するため、2013年アジアサルコペニアワーキンググループ(Asian Working Group for Sarcopenia:AWGS)が組織され、アジア人のための診断基準が提唱されました。

現在は2019年に改訂されたAWGA2019が診断基準として使用されています(図)。

 

参考文献:山田実.「サルコペニア新診断基準 AWGS2019を踏まえた高齢者診療」.日老医誌 2021;58:175―182

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サルコペニア・フレイル・ロコモ

  これらの3つはどれも似たような概念で、初めは医療従事者でさえ混乱するものです。これを読んでくださっている皆さんは一般の方がほとんどだと思いますので、非常にざっくりとお伝えします。

 こちらの図をご覧ください。はじめに低栄養とありますが、今の現代社会ではいきなり低栄養になるとは考えにくく、加齢や低活動な生活、偏食などの生活習慣が背景にあります。

 やがて心身ともに虚弱な状況になり、実際に筋肉量が減少したり歩きにくくなったりして日常生活に支障をきたします。そしてついには要介護状態へとなってしまうのです。

なぜサルコペニアを提唱するのか

 先ほどお話ししましたとおり、「歳を取ると筋肉が減るのはあたりまえ」なのに、どうしてわざわざサルコペニアと診断するのでしょう。

 それはサルコペニアをそのまま放置しておくと、健康被害が生じることがわかっているからです。転倒や骨折、要介護や死亡といった生命予後に影響するため、しっかりと管理をする必要があるのです。

サルコペニアかどうかチェックしてみましょう

 これまでのお話しだとサルコペニアはなんだか難しい印象ですが、実は簡単にチェックできる方法があります。何よりも生命予後に影響しますから、ぜひ行ってみてください。

サルコペニアのリハビリテーション

 サルコペニアにたいするリハビリテーションは、体力向上を目的とした筋力トレーニングや有酸素運動などが挙げられます。もともと低活動・低栄養の状態ですから、むやみやたらに運動を行うことは関節を痛めるなどしてかえって危険です。そして一度、ケガや体調不良を経験してしまうとそれ以降は運動に取り組む気にはなれないものです。医師や理学療法士などに相談して、あなたに合ったプログラムで無理なく取り組みましょう。

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